それは、長く使える丈夫な家であること。
それは、可変性の高い空間であること。
それは、断熱性が高くエネルギー消費が
少ない家であること。
それは、心にやすらぎを与える情緒ある
デザインであること。
そしてそれは、平屋であること。
平屋の良いところは、なんといっても
「上下動線の無い快適性」にある。
家族関係においては
程良い距離感を作りやすく、
空間においては
屋外と屋内との一体感を生み出し
より自然に近い環境を作りやすい。
また、一般的に2階建て、3階建てなどと比べて
地震や台風に強く
家を長く使っていく上でも
有利である。
いつの頃か「人生100年時代」という言葉を
耳にする機会が多くなった。
ある時、ふとそのことを意識することがあり、
世の中を見渡すと本当にそうなんだと感じ始めた。
世の中はどんどん変化しているのに
家は変化しなくて良いのだろうか?
素朴な疑問を持つようになった。
寿命が延びたことで、現役時代を過ぎても
まだ30年以上も暮らし続ける家に
求められるものとは何だろう?
その問題に正面から向き合い、
家づくりを
してみたいと考えるようになった。
昨今、日本人の働き方改革が急速に進み
残業は減り、休暇が増え
おのずと家にいる時間が増えてきている。
それは今後更に加速するのだろう。
昔は男にとって家というのは
夜遅くまで残業して
寝に帰るところ
であったように思うが
これからの時代、家に求めるものは
大きく
変化するのであろうと感じるようになった。
地球温暖化対策や
限られた資源を守る活動など、
環境問題に取り組む基調は世界的に
大きな広がりを見せている。
そんな中、多くの日本の家は
短期間でスクラップ&ビルドを繰り返し
決して環境にやさしい家とは言えない。
もちろん経済的にもやさしくない。
また、家の断熱性能も総じて低く、
エネルギーを
沢山消費しないと
住めない家が多く存在する。
これらの問題を無視した家づくりはない、
と感じるようになった。
親から子へ、子から孫へと
つないでいける
家づくりをしなくてはならない。
その為には
〔躯体が丈夫で耐久性が高いこと〕
〔断熱性能が高くエネルギー消費が少ないこと〕
そしてもう一つは
空間の構造としての
柱や壁をできるだけ減らし
ライフスタイルにあわせて間取りを
簡単に変更できる
〔可変性の高い空間を作ること〕
が大切であると考えるようになった。
IoTやAI、自動運転にドローンなど
世の中の技術進歩は目覚ましく
デジタル化がどんどん進んでいる。
私たちの未来はこれからも
更に便利なものになっていくと想像できる。
しかし、一方で人の心はどうだろう。
心はデジタルにはなれない。
むしろデジタル化の進歩に反比例するように
心の安らぎが失われつつあるのではないだろうか?
心に栄養を、そして安らぎを与えるような
情緒ある環境が必要ではないのだろうか?
そしてその環境は
長時間過ごすマイホームにこそ
求められる
時代が来ていると思うようになった。
日々、人生100年時代の家を考える中で
時を味わう情緒ある家のデザインが
「不可欠」である、
と考えるようになった。
そんな折、ある人の紹介で
高山の建築家・丸山泰正氏と出会う。
丸山氏は建築家でありながら
自らも注文住宅を造る工務店を営んでいた。
丸山氏が造る住宅はどの作品も
シンプルでありながら
自然の温もりや
豊かな暮らしを感じさせるデザインで、
まさに私たちが求めてやまない「情緒」が
そこにあった。
全身に衝撃が走り、身震いしたことを思い出す。
この出会いは奇跡であり、
とても大きな縁を感じた。
丸山氏に総合プロデュースをお願いすると
ふたつ返事で快諾いただけた。
人生100年時代の家づくりプロジェクトが動き始めた瞬間だった。
人生100年時代と言われるこの頃ですが、人の生活と同じように建築もシフトして住み手に寄り添って変化していかないといけないと僕は思っています。
大きな伸びやかな切妻屋根の下でたくさんの人や家族の多様な生活を家が緩やかに繋いでくれる。そんな家で人生を思いっきり楽しんでほしい。
それが、平屋の家『一ノ邸』に込めた僕の思いです。
人生100年時代を考えた一つの解答であり
私たちの考える一番理想的な家。
邸宅のような質の高い平屋建て(一層)を
一邸一邸、心を込めて建てる。
そんな私たちの思いを
平屋の家『一ノ邸』という名前に託しています。